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銀座BAR様 ブランドリニューアル/名刺/コースター

· Renewal,Paper

□CLIENT
銀座 某BAR 様

□PRODUCT
ブランディング一式(リニューアル)(ブランドカラー、名刺、コースター)

□ABOUT
「名刺がなくなってきたので、新しいデザインで名刺をつくってほしい。コースターも新しくしたい」とのご希望でした。このBARは、銀座の路地裏にひっそり小さな看板があるだけの知る人ぞ知るお店で、その上質感を保ちつつ、このお店やマスターの「らしさ」をどう表現するかを考えます。そのらしさの一つは、茶道を習われているマスターが、茶釜を置いたり、和を取り入れたカクテルを提供されたりなど、和の侘び寂びをオーセンティックなBARとうまく融合されているという点。

このらしさを、うまくデザインで表現できれば面白いかも。そんな方向で企画に入りました。ベタな和風ではなくて、和のエッセンスがキリッと入ってる感じで。「コースターは、茶道で使う懐紙のような横長にしたい。グラスをおいて横におつまみも置けるような感じで」。マスターの和への想いを頭に留めながら、その形や大きさをどう決めるか、またイメージカラーも変えてもいい、ということだったので、いろいろ根本から考えていくことになります。

そしてまずは「懐紙」に注目。そもそも懐紙のサイズは、いつどうやって決まったのだろうと調査に入ります。するとそのサイズの起源は、平安時代の紙屋院(当時の書式等の省庁)が定めている全紙(杉原紙)のサイズに遡ることがわかりました。1尺3寸(約39cm)X 2尺3寸(約70cm)。この半分が、書道の「半紙」として普及している。(現在普及している規格は少し違うのですが)この全紙の縦を8分の3、横を4分の1にしたものが、ほぼ懐紙サイズになります(男性用は+3cm)。これを基準に、名刺、ショップカード、領収証、コースター等の各種ツールのサイズを立案。

そして、ブランドカラー。このBARはもともと焦げ茶色がブランドカラーだったのですが、こちらも茶道や和にちなんだ色にできないかと探っていきます。和の配色や色の意味を調べていくなかで、井原西鶴の作品にも出てくる最高級の檳榔子黒(びんろうじぐろ)や、江戸時代の染色指南書にある仲直りの印の逸話をもつ藍墨茶(あいすみちゃ)など、いくつかの中から、赤銅に近い蘇芳(すおう)という色案が出てきました。蘇芳は、椿色の染色をする際に使用する2色のうちの1つで、椿の色は、平安の人にとって高貴と生命力、夜明けを意味する色のようでした。以前の焦げ茶と比較すると、客層にあわせた落ち着いた空気感は残しながらも、見た目の刷新感もあっていい。

こんな流れでサイズとブランドカラーも決まり、もともとあったロゴマークを使ってまずは名刺、続いてコースターのデザイン制作を進行していきました。ロゴの位置は、店舗扉の看板位置と同じような配置で紙面にレイアウト、マスターの肩書きは、茶道で主催者を意味する「亭主」に、コースターの背景模様は、江戸小紋の格調高い柄である武田菱をヒントに、夜の店内と昼の外で光の当たり方で色が変わって見えるよう、ロゴに施した銀箔押し加工など、細部を一つ一つ詰め、ミリ単位で調整していきながら、ようやく完成にいたりました。

マスターの和に対する想いのおかげで、またそこから膨らんだ構想や青写真を伝えてきっちりデザインしてくれるブレーンがいてくれたおかげで、満足いくカタチ化ができのではないかと思います。


さて、今回の例を役割ベースでお伝えしますと、クライアントさんから弊社にオファーがあり、その希望を聞いて膨らまし、こんな方向でとまとめ指揮して(nari)、その指揮に基づいてデザインをする(デザイナーさん)。これが一連のプロセスです。役割を演奏会にたとえるとクライアントは演奏会の主催者、ぼくは音楽プロデューサーであり指揮者、音を奏でるのはデザイナーさん。そして観客はその作品を聞いて楽しむ人たち、つまり、BARに来るお客様です。

今回はブランドのベースができていたので数秘や分析は使いませんでしたが、初めて制作する方や起業する方、方向性を迷われている方は、本質的な設計から入るので、その場合は私の立場がもう一つ入ってきます、演奏会そのものをクライアントと同じ目線で考える顧問的な役割として。

出来上がった名刺を見ただけでは、その1枚からこういう背景は伝わりません。モノづくりに携われている方すべてに言えることかもしれませんが。たかが名刺、されど名刺。

その1枚で、第1印象は決まる。

そしてその背景のストーリーをクライアントさんがお客様との話題にされることで、より相手との関係性を深く、豊かにしていく。

ネットで数分、テンプレで簡単に名刺ができあがる時代ですが、弊社がカタチ化しているものは名刺という紙面ではなくて、そこから生まれる様々な可能性の余白をつくっているのだと考えます。余白は何もないゼロではなく、見えない可能性で埋め尽くされた行間なんじゃないかと。そうなると様々な行間をカタチ化することが、カタチ化相談室の事業内容なのかもしれません。

もし銀座のBARでこのデザインを見られましたら、ぜひ亭主にお声がけされてみてください。

 

□CAST
Design M.Kosaka
Direction H.Narikawa

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